研究論文が完成しました

自律神経学会誌に投稿したところアクセプトされ掲載されました。

自律神経 55巻 4号

翳風穴への鍼刺激は起立時血圧応答を改善する

高田(松山)幸枝a,b, 田中邦彦c, 中村浩二c

aみどりはり・灸治療室, b岐阜大学医学部看護学科生命機能学分野, c岐阜医療科学大学大学院保健医療学研究科

以下抄録です。

　内耳前庭系は，起立直後の血圧調節に重要な役割を果たしている．内耳疾患に有用とされる翳風（乳様突 起と下顎枝の間の陥凹部）置鍼における，前庭機能を介した調節系への影響を検討した．14名を，仰臥位から 60°に挙上させ，血圧を連続的に測定した．重心動揺測定を行い，ロンベルグ率を計測した．これらの測定を無刺 激，内関（手関節掌側横紋の上方2寸）でも同様に行った．7名は無刺激，内関刺激時に，前庭系が大きく関与 している起立直後の血圧に低下を認めた（Down群）．この低下は翳風刺激では有意に抑制された．7名は刺激の 有無に関わらず，血圧の有意な変化を認めなかった（Non-Down群）．Down群では，同様に前庭系が関与する重 心動揺におけるロンベルグ率は翳風刺激で有意な減少を認めた．翳風刺激は起立直後の血圧調節系ならびに重心 動揺を改善することから，内耳前庭系の機能を短時間的に改善することが示唆された． 305-309, 2018.